皇月家の『御神娘』。十五歳。
完璧なプロポーションと、清廉な美貌。濡れ羽色の長い黒髪と清冽な碧空色(スカイブルー)の瞳が特徴的。
お嬢様風の外見とは裏腹に、物心の付いたときから、厳しい鍛錬を繰り返して来ており、今では常人を遙かに超えた身体能力と冷静な判断力、そして鉄の如き意志力を併せ持っている。
女子高生的な知識はまるでなく、必要も感じてはいないが、興味を持ったことを覚えるのはとても速く、良く媛子を驚かせている。
誇り高き性格で、小細工や第三者の介入を激しく嫌う。
良く夜空に冴え冴えと輝く月に己をなぞらえている。
媛子の予想外の『お願い』に、心を揺らされることになる。
日之宮家の『御神娘』。十五歳。
歳に似合わぬ幼い容姿と、紅茶色の柔らかい髪髪、紫水晶色(アメジスト)の瞳が特徴的。
はっきりと喜怒哀楽を表に表す性格で、千華音とは対照的に、肉体的、精神的な強さをまったく感じさせない。
趣味も言動も実に女の子女の子しており、常に千華音に対し『仲良し』なスキンシップを求めて来る。
趣味や遊びを積極的に行うが、しくじってしまうことが多く、見た目の子供っぽさに拍車をかけている。
数少ない特技はアロマテラピー。
彼女の想定外の『お願い』が起こしたさざ波は、やがて大きなうねりとなって運命を呑み込んでいく。
杜束島を陰から納める長老衆、『九頭蛇』の少年。
二人の『御神娘』の闘い、『御霊鎮めの儀』が正しく行われるかどうかを見守る『御観留め役』の使命を持ち、常に二人の言動に眼を光らせている。
常に神出鬼没、浮世離れした装束や貴族的な容姿とあいまって、何処か幽鬼じみた印象がある。
鍛え上げた千華音に勝るとも劣らない技量と身体能力を持ち、時折、『助言』と称する皮肉や虚言を口にする。
杜束島にて身体の何処かに『大蛇神(おおみかみ)』の証を持って生まれてくる二人の少女のこと。
『御神娘』は人の娘ではなく『大蛇神』のために生まれた贄であり、物心の着く前に神に借りの胎を貸しただけの母親から引き離される。そして神に捧げるに相応しい『御神娘』となるべく修練と苦行の日々を始めることになる。
十五歳の誕生日より、『御霊鎮(みたましず)めの儀』と呼ばれる闘いを始めることになる。
十六歳の誕生日の日に、どちらかがどちらかの命をその手で捧げる神事、『奉天魂』を行う使命を持つ。
故に『御神娘』の生まれた家は、全勢力を傾け、『御神娘』を勝たせるために育て上げていく。勝ち残った『御神娘』は、その家共々、『九頭蛇(くとうだ)』に迎えられ、『九那登(くなど)』(『御観留め役』の男の妻となる)を執り行う。
二人の『御神娘』が、大蛇神の名の元にあい闘う神事。
十五歳の誕生日の日から二人の闘いは始まり、十六歳の誕生日に『大蛇神』の神前で行われる最後の儀、『奉天魂』でどちらかの命を大蛇神に捧げる。
基本的なルールは二つ。
○『奉天魂』の時まで、相手の命を絶ってはならない。
○杜束島の秘密を第三者に知られてはならない。
(※例えば不用意に第三者を巻き込むなどして騒ぎを大きくしてはならない)
『御神娘』の実家の関係者、及び『御見留め役』以外の干渉は禁止されている。
日本海の某所に浮かぶ離れ小島。
千人ほどの島民が暮らしている。
島のシンボルとも言うべき、美和山を始め、自然が豊かだが、特に目立った特徴は無く、外界の人間たちとの接触を好まない。
島を実質支配しているのは、『九頭蛇』と名乗る長老衆で、島独自の信仰である大蛇神を崇めている。
神話の時代から杜束島に眠るとされる祟り神。
深き眠りから目覚めるとき、大地は裂け、海は逆巻き、『杜束島』は滅びると伝えられている。
島のあちこちには、その証(不自然に崩れた尾根や、カルデラ湖などがある)が見られる。
そのめざめの証として、まず『印』を持った二人の少女をこの世に送り出す。
杜束島を陰から支配している長老衆の総称。
その使命は『御霊鎮めの儀』を恙(つつが)なく執り行い、『大蛇神』を鎮めること。
その一団に属する者は、数々の特権と共に『大蛇神』に使える栄誉を手に入れることが出来る。
各家に伝わる秘技、秘術を基に特別な鍛錬を積んできており、その中には、異能の力を持つものも少なくない。
二人の『御神娘』の闘いを監視する審判役で有り、『御神娘』の未来の花婿である。
故に、『九頭蛇』のなかから適齢期の青少年が選ばれることが多い。
『御神娘』のルール違反(敵前逃亡や実家の暴走など)と判断した他は、その闘いに手出しをしてはならない。
『九頭蛇』の手足となって陰の働きをする従者たちの総称。
戦闘支援、諜報活動から、潜入先の手配や、情報操作など様々な活動を行う。
『御神娘』の実家に雇われ、闘いに協力する。